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「もう苦しまなくていい。先に逝け」
ああ…この痛みから解放されるんだ…。
俺はゆっくりと目を閉じ…死を待った。
だが…
「ゲスに成り下がったな、蓮!親友に手をかけるなんてどんな神経してやがるんだ!」
「…ぐっ」
女の子の声なのに、男のような口調の人物が叫ぶ声に目を開く。
蓮の苦痛の声の後、枯れ葉に何かが落下する音が聞こえた。
なにがどうなってるのか、全く分からない。
続いて、俺の体を揺らす手の感触があった。
目線だけ動かして確認する。
「大丈夫ですか!?まだ生きてますよね…。
治してあげますから、じっとしていてください」
この声もさっきの声も、聞き覚えがある。
幼なじみの双子、橘 佳織(たちばな かおり)と橘 詩織(たちばな しおり)だ。
俺のそばにいる子が佳織で双子の姉。
誰にでもですますで話す。
近所のおばさん達の評判が良く、大分可愛がられていた記憶がある。
男口調の子が詩織で双子の妹。
彼女の性格は変わっていなさそうだ。
出会った時からあんな感じだった。
正義感が強くて、いじめっ子を蹴散らしていたっけな。
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