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軽くふざけあって、ようやく辺りの景色と自分の状態を把握してきた。
多分倒れたところから全く移動していない。
そして、腹の傷も頭の傷も…痛むことはなかった。
生きていると言うことを実感し、安堵で少し泣きそうになる。
「まだ…生きてたんだ…」
「姉さんにお礼言っておけよ?」
「ああ…。そういえば…蓮は?」
蓮、と聞いた途端、詩織が呆れ顔になる。
「ああ、姉さんにシバかれてる」
「佳織に…ってええぇ!?」
「声裏返ってるぞ」
「だって、佳織って…俺には優しくていつもニコニコしてるイメージしか無いんだけど?」
「…フッ、そりゃ猫被ってない姉さん見たことないだろうからな…」
詩織は何処か遠い目をしていた。
「いいか、姉さんだけは、絶・対・に怒らせるな、わたしにとばっちりがくるんだ。
分かったか?」
「あ…ああ」
「ならばよし」
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