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「……」
ようやく覚醒したのか、背中に小刻みの振動を感じた。
彼女の顔はさぞかし真っ赤になっていることだろう。
「………!!
…忘れて…もうなにもかも…」
笑ってごまかす。
「紹介するよ西塚さん、髪の長い人が橘佳織、短いほうが橘詩織。二人は姉妹だよ。
んで、こちら西塚水樹さん。さっき出会ったんだ」
「あらあら、可愛いですねえ。
隆之、どこで攫ってきたんです?」
「攫ってねぇ!?」
「……攫われました。私が動けないのをいいことに…」
「ほう?」
佳織の空気が変わる。
「ちょ!西塚さん!」
…彼女からすると事実なところが痛い。
「…お姉ちゃんは悲しいです。隆之がそんなことをするなんて…」
よよよ、と泣き崩れるふりをする佳織さん。
「残念だ、隆之」
「待て、落ち着け。
この子が怪我しちゃったから仕方なくだな…」
「問答無用…と言いたいところですが、怪我とは?
詳しくお願いします」
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