一日の終わり

4/18
前へ
/550ページ
次へ
「……」 ようやく覚醒したのか、背中に小刻みの振動を感じた。 彼女の顔はさぞかし真っ赤になっていることだろう。 「………!! …忘れて…もうなにもかも…」 笑ってごまかす。 「紹介するよ西塚さん、髪の長い人が橘佳織、短いほうが橘詩織。二人は姉妹だよ。 んで、こちら西塚水樹さん。さっき出会ったんだ」 「あらあら、可愛いですねえ。 隆之、どこで攫ってきたんです?」 「攫ってねぇ!?」 「……攫われました。私が動けないのをいいことに…」 「ほう?」 佳織の空気が変わる。 「ちょ!西塚さん!」 …彼女からすると事実なところが痛い。 「…お姉ちゃんは悲しいです。隆之がそんなことをするなんて…」 よよよ、と泣き崩れるふりをする佳織さん。 「残念だ、隆之」 「待て、落ち着け。 この子が怪我しちゃったから仕方なくだな…」 「問答無用…と言いたいところですが、怪我とは? 詳しくお願いします」
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加