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その日は雪が降っていた。景色が真っ白に染まり、吐息も白い。
白い景色だけはいつもと変わらない。だけど、いつもの風景とは違う景色が私の目の前に広がっていた。
喪服を着た人達の長蛇の列。その人達の表情は暗くとても重苦しい雰囲気が漂う。
行列の先は私の家ではない。隣の家……大好きな幼なじみの家からだ。
そうこれは葬式。私にとっても馴染み深い、幼なじみの両親のお葬式が行われている。
「………」
私はこの光景を黙って見ていた。隣では私の両親が涙を流している。
本来ならば私も涙を流しているはずだ。だけど、私は泣くわけにいかない理由がある。
この葬式の原因を、そしてこの葬式に参加しているはずの幼なじみがその場にいない原因を作ってしまったのだ。
そう私が。
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