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苦しみはない。…………ただ薄れゆく意識の中で死を覚悟した。
それは一時間ぐらい前の事だった。
俺、遠峰 蒼は今日海に来ていた。
久々だったが不安や恐れは全くなく少し泳ぐ程度だと思っていた。
だが一体俺に何が起こったのだろうか…俺は何かに駆られるように、もっと遠くまで泳いでみよう。そう思った
だが誰もが予想出来ただろうそれは、危険だと。
しかし何故か俺は泳ぎつづけた。
………………………………………………………………そして今。急に激しい潮の流れに襲われ俺は沈み続けている。
死に抵抗しようとは全く思わなかった。
そのまま目を閉じる……暗闇が俺を包む。
が、何かが聞こえる。そんな事あるわけがない、此処は陸地から遠く離れた海の中だ……でも聞こえる。
しかし俺にはそれを確認するほどの力は残ってなく、ただひたすら闇に紛れるだけだった。
どれくらいたっただろうか、さっきの音は音ではなく歌に変わっていた。
目をあけるとそこには黒い長髪を潮の流れになびかせながら歌を歌っている女の子がいた。
彼女は俺が17年間生きていて一番と思うほど美しかった。
目を開けた俺に気づいた彼女は歌うのをやめ、そして再び口を開いた。
大丈夫。あなたはまだ死なないわ。ゆっくり目を閉じて。
そう言われた俺は目をゆっくりと閉じた、それと同時に意識がなくなった。
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