二滴目

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二滴目

………癸 瑠々……。 彼女は言った。 癸……瑠々…。 俺が驚いたのは彼女の右目についてだけじゃなくなった。 それは彼女が遠くから見た時に着ていた水着ではなくなり、俺と同じ学校「天の川学園」の制服を着ていたからだ。 その制服………。 私は……天の川学園初等部……一年二組……。 彼女は途切れ途切れに弱々しくそう言った。 ……あの…あなたは? 俺は、天の川学園高等部三年四組……です。 そう…ですか、一応……覚えて…おきます。 あぁ、うん。 よろしく。 それじゃあ……私はこれで…………さようなら。 彼女はそういうと小走りで去って行ってしまった。 「さようなら」か。 俺の勘違いかもしれないが彼女の言葉は冷たく鋭かった気がした。 … …… ……… 俺は一旦、診療所に行き診察し、身体に異常がないと聞くと、そのまま家路についた。 ただいま。 …………………。 誰も居るはずのない、家に形だけの挨拶をした。だが おかえりなさいませ、蒼様。 あぁただいま、LUCY(ルーシー) ロボットは居る。 彼女はLUCY。 このただっ広い遠峰邸に居るのは俺とメイドロボットの彼女だけである。 蒼様、今からいかがなさいますか?御夕食にしますかそれとも入浴なさいますか? そうだな……。 時間は午後九時半をすぎていた。 夕食はいいや。風呂に入ってそのまま寝るよ。 かしこまりました。 俺は一旦自室に戻った。 俺の家族はというと十年前、2052年この沖縄を襲った世界最大の台風の被害により父母二人ともなくなった。 その後、五年間は祖父に育てられたが二年前に他界し今にいたっている。 癸 瑠々か…… 今日出会った不思議な女の子の事を考えていた。 明日、会えるかな………。
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