四滴目

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四滴目

だって……彼女、クラスから虐めをうけてるんだってよ。 えっ………。 その虐めのせいで学園にはあんまり来てないらしいよ。でも、 でも? 今日は来てるみたいだよ。 本当か!? ねぇ蒼君、なんでこんな人に関わろうとするの? ……彼女は、命の恩人なんだ。 命の? 俺は琴に昨日の事を包み隠さず話した。 へぇ~大変だったね。 あぁだから彼女に会いたいんだ。 そっか。じゃあ行ってこなくちゃ。 ありがとう、琴。 いいえ。 俺は教室を後にした。 彼女が虐められてる。 これは俺が守るべきか? ん、守るってどういう事だ?いやいや 自分の考えをごまかしつつ俺は初等部に向かった。 ここか。 一年二組。 あの、癸さんって子知らない? えっ癸さんですか!?…………………屋上だと思います!そっそれでは。 俺が尋ねた一年の女の子は慌てた感じで教室に入っていってしまった。 ……………屋上か。 もうすぐ一限目の予鈴がなる。 まぁサボってもべつに大丈夫だろう。 俺は屋上へと向かった。 ガチャ ギギ~。 くっ相変わらず重い扉だな。 俺は鉄製の重い扉を開け放ち屋上に出た。 風は優しく髪を撫でるくらいの穏やかなものだった。 さてと彼女は………。 辺りを見渡すと屋上の時計台の上に彼女はいた。 俺も時計台にのぼろうとしたが、 梯が、ない。 どうやら彼女は邪魔をされないように梯を上に置いてしまっているらしい。 ん~どうしよう。 声をかけるしかないか。 お~い癸さ~ん。 彼女がこちらに気づいたようだ。 梯を~。 彼女はちょっと躊躇いながらも梯を下ろしてくれた。 ……こんにちは、…………遠峰先輩。 こんにちは癸さん。昨日はありがとう。 ……いえ。 ……ご用はそれだけ……ですか? だったら、帰って下さい…あまり私と……関わらないで下さい。 それは君が虐められてるから? ………………………はい。 嫌だよ。 っ!?どうしてですか!? それは君に助けられたからだよ。 ……………勝手にしてください………。 ありがとう。 ……………………。 こうして俺は癸さんとちゃんと知り合うことができた。
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