一章

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「チィ、さっさとこの城から出て行け。姫様参りましょう」 老人は納得いかないと言った顔つきで刀から手を離し、後ろへ少し下がり姫が通る通路を開ける 「蓮。また後で……」 あゆ姫は老人の横を通り下への階段をゆっくりと着物を引きずりながら降りていく。その後を追うように老人も降り、小さな部屋には蓮だけが一人残された 「親父何で…………」 刀を握っている手からポタポタと赤い血が静かに床へて落ちていく 戦乱の時代、ここに2つの国があった、1つは阿修国、小さ国ではあったが民の顔には笑顔があっり、みなが助け合い暮らしていた。もう1つの国螺旋国、阿修国の五倍以上の広さを誇り、民の数も多いしかし螺旋国の民は周囲の小国を滅ぼした時に連れて来られた言わば奴隷、女、子供は田畑を耕し、戦に出れる男では全員戦へと駆り出されていた。 そして螺旋国の手が阿修国へと延びようとしていた、しかし阿修国には他国にまで名が轟く程の男がいた、その男を見たらまず逃げろと言われる程恐れられ。男は双天の鬼神の異名を持つ名を仁(じん)と言う、仁一人で万の兵に匹敵する強さと謳われていた。 今から約五年前、螺旋国は三万の兵を率い小国の阿修国へと攻め込んだ、対して阿修国はたった五千足らずの兵。 三万の兵に対し五千足らずの兵では勝てるはずがないと誰しも思った、しかし戦は双天の鬼神により一夜にして終わりを告げた、三万の兵は一人の男になすすべなく敗れさった。
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