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ドシンドシンというサッカーボールを蹴る音に、はっと立ち止まる。
気付くととある小学校の前まで来ていた。
いつもはここまで来ないけれど、今日はたまたま行き過ぎてしまったらしい。
音のしたグラウンドの方を顔を向けると、少年が一心不乱にサッカーボールを蹴っていた。
フェンス越しの幸広の視線には気が付いていない。
改めて見ると、なんて速くて力強いドリブルなのだ。
幸広はディフェンダーとして彼を止めてみたくもあるし、同じチームの一員として彼が頼もしくもある。
グラウンドには彼以外は居なかったが、職員室の明かりがついていた。
フェンスの端に取り付けられたライトがうっすらと彼のかげを伸ばす。
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