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『ミッションを開始します』
アナウンスに紅はレバーを握り締める。
目の前に広がる映像。正面と左右に映し出された景色は、アニメ『ガンダムSEED DESTINY』に登場するアーモリー・ワンの物だ。
「しゃあ、いくぜ」
バックパックが蒼白い火を噴き、加速するゲイルストライク。
相手は、主人公であるキラ・ヤマトの搭乗機であるSフリーダムだ。
「・・・あれ?」
紅は首を傾げる。確か、この戦闘は3対3で行われる筈だ。
しかし、マップに映るマーキングはこの場に存在する2機のみ。
何かがおかしかった。
「バグか? まぁいいや」
それをバグと判断した紅は、ゲイルストライクを駆る。
両手に構えたビームライフルで牽制してくるSフリーダム。その精密な射撃は、アニメの登場人物であるキラを彷彿とさせた。
「マジかよ!!」
思わぬ射撃精度に叫びながら、迫るビームを避ける紅。
紙一重の回避を続けるが、中々反撃の糸口を掴めずに居た。
「うざいな」
紅は、キラをあまり好いてはいなかった。
原作においては、人の話を聞かず、仕方ないと戦火を拡大し、罪もない人達を戦いに巻き込んだエセ主人公。原作を見ていた時には、その身勝手かつ横暴な行動に呆れてすらいた。
そして主人公の座を奪われたシン・アスカは訳も分からぬまま最終的にキラと和解。
茶番を見ている気分だった。
「鬱陶しいんだよっ!!」
スロットルレバーを全開にして、上に飛ぶゲイルストライク。
『ビームライフル』を放ち、Sフリーダムを牽制する。
放たれたビームライフルに、回避運動を取るSフリーダム。
「いまだ!」
途絶えるビームの雨。その隙を突いて、ゲイルストライクは『ビームライフル』をSフリーダムに向けて放った。
ビームシールドを展開して、ビームライフルを弾くSフリーダム。
「分かってんだよ!」
攻撃の止まった隙に、Sフリーダムに接近していくゲイルストライク。
腰のウイングソーを両手に抜き放ち、紅は加速を掛けた。
そして、その刃がSフリーダムに吸い込まれた瞬間。
「え?」
筐体内は、真っ白い光に包まれた。
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