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ページが進んでいくにつれて蜜華の表情が見た目にもわかるほど曇っていく。
「………台詞多い…」
「ま、刑事役だし仕方ないんじゃね?」
犯人の犯行の手口の説明からアリバイ崩しなど。それに加え主役とパートナーを組む役なので二番目に台詞が多かった。
だが頭のいい光流は1・2回見ると台詞は完璧に覚えられる。
「光流は頭いいからいいわよ~…あたしだめ……多少のアクションなら光流やって…」
「いやだね。今回多少っつっても激しいし」
「や~だ~!」
光流は何か言おうと口を開いたが、一度言葉を飲み込むように閉じ、少し意地悪そうな笑みを浮かべた。
「……じゃあMITSUが運動音痴っていうイメージがついてもいいか?」
「それは絶対イヤ」
間を空けずに蜜華がそう答えると、だろ?と光流が続けた。
「う~…仕方ないか…で?撮影はいつからなの?」
「来月の1日」
さらっと言った日付を目を上に向けて計算する。そしてその後視線を光流に向けると、彼はすでに違う方を向いていた。
「み~つ~る~?」
声は笑っているようだが、それが怒っている声であることはわかっていたので、少し慌てて説明する。
「仕方ないんだって!ついこの間ドラマのこと聞いたし!」
「でも10日前ってのはないんじゃない?」
最もなことを言われ、さすがの光流も言葉に詰まる。
今は3月21日で来月の1日まではもう日がなかった。
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