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次の日――。
「光流準備できた~?」
光流の準備が出来た蜜華が彼の部屋の前で名を呼ぶ。
「あぁ」
普段の蜜華の格好より少しだけボーイッシュな服に身を包んだ光流が返事をしながら部屋から出てきた。
「やっと大学だよ。高校は制服だったからな……二度とスカートははきたくない…」
蜜華は19歳の大学生。大学は私服で行くのでわざわざスカートをはく必要がなかった。
「似合ってるんだからはけばいいのに~」
「スカートなんて蜜華のフリしてる時以外はけるか!」
蜜華の冗談に光流は本気で反論するが、蜜華は軽く受け流す。
「はいはい。じゃ、行くよ」
ふてくされた表情のまま蜜華の後に続く。
「いってきま~す」
案の定二人の声が重なって家を出る。
「光流。声と言葉遣い気をつけてね」
「それそのままそっくり返す」
蜜華は口を手で押さえる。
そして二人は向かい合って微笑み合う。
「じゃあ、頑張れよ!」
「えぇ」
声だけを聞くと光流と蜜華の声に違いないが、姿と照らし合わせると前者の声は光流になった蜜華が、後者は蜜華になった光流がそれぞれ姿に声を会わせていた。
といっても双子なのでそこまで差があるわけではないので、高低を少し微調整するだけでいい。
そして二人は反対方向にそれぞれ足を進めて行くのだった――。
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