一日目

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春の麗らかな陽気。桜の花が舞い、まだ少し肌寒い風が優しく通りすぎていく。新たな出会いの季節。人々の雰囲気も良くなる。 春独特の空気が流れてゆく。 そんな中に一人、まるで『閻魔大王に今さっき地獄行きを宣告された』ような顔をした少年が真新しい制服に身をつつみ、これから重くなるであろう鞄を持ち歩いていた・・・。 杉田朝飛、15歳。 本日、高校一年となりました。 入試の成績は二位。家族や友人には「惜しかったね」と言われたけど、僕としては嬉しかった。 何故かというと、狙ったから。一位には、なりたくなくて上手い具合に計算して一位を回避。結果二位。うん、ギリギリ・・・。 結果論だけど、まぁ、二位になれてよかった。 こうまでして一位になりたくない理由は、ただ一つだ。 ―――――目立ちたくないからっ!! はい、本気です。 本気と書いて『マジ』と読むくらい本気です。 入学式であいさつ?冗談じゃない。 僕は断固拒否です。 高校生活出来れば、ひっそり目立つことなく生活したい。 生まれてこのかた平穏に学校生活が送れたことがない。 良い意味でなら良かったのだが、悪い意味でだ。 別に、僕自身は目立たない。 背は低い方というか低いし、運動はあまり得意ではないし、多少女顔というだけで目を引く容姿もしていない。 ―――――自分で言ってて悲しくならないかって? 君たちも僕の立場になったらわかるよ。 ・・・・・あんな、あんな、見た目だけ無駄に良い奴らと幼馴染みやってみれば嫌というほど理解する。
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