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第2話【女拳士】
「おい!大丈夫か?」
もう一人の不良が仲間をきずかう。
「フン!だいの男がよってたかって、見苦しいのよ!」
不良より頭二つ分背の低い女生徒が睨みをきかせていた。
「ウルセェ!」
不良が拳を振りかぶる。
『シュッ』
彼女の拳が空を切る音がした。
『ガスッ!』
「うぐっ」
『ドゴッ!』
「がはっ」
『バキッ!』
「あぐっ」
不良達が、彼女の一撃を受けて次々と倒れた。
「男ならサシで素手で来なさいよ!」
地面に転がる不良に女拳士は言い捨てたが、彼女の両手には
『メリケンサック』
が装着されていた。いまいち説得力に欠けている。
「はぁ~、スゲェな」
事の成り行きを見守った要は感心した。不良をぶちのめした女拳士には隙が無く、一目で武人だと分かった。
「大丈夫?」
彼女は女生徒に手を差し伸べる。
「ありがとう」
女生徒は礼を言った。
「ふぅ、五人相手はきついわ」
額にかいた汗を腕で拭い彼女は一息をついた。要の存在に気づくと
「誰?さっきの仲間?」
いきなり喧嘩ごしで話しかけてきた。
「いや、俺は明日からこの学校に通う生徒だよ」
「転校生?クラスは?」
「確か1-A」
要は思い出しながら話す。
「あたしと同じクラスじゃん!」
とたんに彼女は笑顔になった。
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