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第3話【居候】
「へぇ~。そんな遠くから来たんだ」
「まぁな」
先ほどの態度から一変した【女拳士】は、要になにかと世話をやいてくれた。
「あ、まだ名前いってなかったけ。あたしは宇都宮景(けい)」
「俺は石動要(かなめ)だ」
「かなめちゃんか」
「かなめでいい」
「じゃあ、あたしも、けいって呼んで」
「分かった」
今、二人は要の持っていた、【地図】を頼りに目的地を捜している途中だった。
「でも、親元を離れて暮らすなんて不安じゃない?」
「いや、別に。親父の知り合いの家で【居候】の身になるだけだし」
要はのほほんと答える。
「そうなんだ。でも、この住所結構あたしの家の近くだよ」
景は地図をたたんだ。
「ここがあたしの家だよ」
景が指を指した先に一軒家があった。
「要のお父さんの知り合いってどんな人なの?」
「えっと、【ゴウ】という名前で熊みたいなオッサンだ」
「えっ!?」
要の発言に景が驚きの声をあげた。
「けい!今日はまた、えらく早い帰りだな!」
胴着を着た男が庭を横切り、要達に近づいてきた。
「お父さん!」
「オッサン!」
二人は同時に叫ぶ。
「ん?あぁ!お前が【レツ】の息子か!」
「はい!」
胴着を着た男、ゴウは要の事を知っていた。
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