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―ガチャ…
「………あ」
ゆっくりとドアが開き、顔を覗かせたのは沙夜のお母さん。
「三人とも…わざわざごめんなさいね。どうぞ…」
明らかに声に元気がない。
「おじゃまします……」
ペコリとお辞儀をしてから、うちらは沙夜の家へと入っていった。
「ソファーにでも座って待っててね。お茶の用意してくるから…」
「あ、すみません。お構い無く…」
沙夜のお母さんがお茶を用意している、カチャカチャという音を聞きながら…沙夜の家を見渡した。
…何も変わってない。
沙夜がいたときと、何一つ変わってない。
「ごめんね、お待たせして…。遠慮しないで飲んでね」
沙夜のお母さんがうちらに紅茶とお菓子を差し出す。
「…ありがとうございます」
そう言って紅茶を一口飲んだとき、水分を吸いとった心が落ち着いてきた。
それと同時に、緊張していた気持ちがほぐれ、感情をとりもどす。
気付いたら目から涙が溢れ、うちは沙夜のお母さんに向かって土下座をしていた。
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