633人が本棚に入れています
本棚に追加
「美夏ちゃん……」
「お父さんがお亡くなりになって…こちらの家が大変だったのも知っています。そのぶん、お母さんにとって沙夜が心の支えになっていたのも知っています。それを…うちらが奪ってしまったも同然です…!!」
「…………」
「今さら謝っても遅いのは承知してます。でも…もう謝ることしかできない……。沙夜のお母さん、本当にすいません!!!」
懸命に、ただ頭を下げて謝った。
涙は止まらないままだ。
…泣くべきじゃない。
本当に心を痛めて、泣きたいのはお母さんのはず。
うちらが泣くなんて、間違ってる……。
うちらに泣く資格なんて……ない。
「美夏ちゃんたち…顔をあげて……」
沙夜のお母さんの声が真上から聞こえて、ゆっくりうちらは顔をあげた。
怒鳴られるのを覚悟してた。
殴られても当然だと思った。
でも、そこにあったのは…
涙を目にいっぱい溜めて、優しく微笑んでいる沙夜のお母さんの顔があった。
最初のコメントを投稿しよう!