あなたの死

6/12
前へ
/157ページ
次へ
「美夏ちゃん……」 「お父さんがお亡くなりになって…こちらの家が大変だったのも知っています。そのぶん、お母さんにとって沙夜が心の支えになっていたのも知っています。それを…うちらが奪ってしまったも同然です…!!」 「…………」 「今さら謝っても遅いのは承知してます。でも…もう謝ることしかできない……。沙夜のお母さん、本当にすいません!!!」 懸命に、ただ頭を下げて謝った。 涙は止まらないままだ。 …泣くべきじゃない。 本当に心を痛めて、泣きたいのはお母さんのはず。 うちらが泣くなんて、間違ってる……。 うちらに泣く資格なんて……ない。 「美夏ちゃんたち…顔をあげて……」 沙夜のお母さんの声が真上から聞こえて、ゆっくりうちらは顔をあげた。 怒鳴られるのを覚悟してた。 殴られても当然だと思った。 でも、そこにあったのは… 涙を目にいっぱい溜めて、優しく微笑んでいる沙夜のお母さんの顔があった。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

633人が本棚に入れています
本棚に追加