633人が本棚に入れています
本棚に追加
「美夏ちゃんたちが謝ることじゃない。本当に悪いのは、私なのよ…」
そう言って沙夜のお母さんはうちらの手をとり、ソファーに座らせた。
「そう…。あの子はずっと前から、あなた達に打ち明けていたのね…」
沙夜のお母さんが、うちらと向かい側にあるソファーに座る。
「私は、例えば沙夜に何か辛いことがあったら…必ずわかるって思っていたわ。
親である自分になら見抜ける、沙夜は自分に相談してくれるって……思ってた」
「……」
「でも、あの子は私に何も言わなかった…。
産まれたときから一緒に生きてきて、一番身近な存在である家族には、自分の相談をするのが当たり前っていうのが私の考えだったの。私は実際に、小さいときからそうやって生きてきたし…。
けど…それを壊すものって…なんなのかしら……」
うちらを見るわけでもなく、沙夜のお母さんは…手に持っているマグカップを見つめながら話し続けた。
そんな沙夜のお母さんを、うちは見つめる。
…お葬式のときとは、大違いの姿。
まだ数日しかたっていないのに、かなり痩せてしまっていて…顔もかなり疲れている……。
沙夜のお母さんにとって、この数日はどんなに長かったのだろうか…。
最初のコメントを投稿しよう!