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「私は沙夜に甘えすぎていたのね…。何でも打ち明けてくれるっていう先走った思いだけで、結局私は何も見抜けずにいた……。
本当は、こっちから歩み寄らなければいけない時もあるのに…。
あの子が時折見せた、辛い顔さえ…私は深く考えていなかった…。
…私が何も知らずに暮らしている間、あの子は何回…涙を流したのかしら……」
最後には、沙夜のお母さんは涙に声をつまらせながら泣いていた。
うちらは何も言えなくて…黙って見ていることしかできなかった。
沙夜のお母さんの嗚咽だけが、静かなリビングにひびく。
沙夜のお母さんの目は、パンパンに腫れていた…。
きっと、数日間たくさん泣いてきたのだろう…
うちらと同じように、手遅れである自分の後悔に悩みながら……。
「…ごめんなさいね」
しばらく泣いたあと、
沙夜のお母さんは小さく微笑みながら、ハンカチで目元を拭いた。
「今日呼んだのは、美夏ちゃんたちにお願いがあったからなの…」
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