二人の紡ぐ物語~セイルとユリアの冒険 第2章

78/145
14062人が本棚に入れています
本棚に追加
/2757ページ
ユリアの左肩に立つテングは、ヤツデの葉っぱを靡かせて。 「おいさ。 風の飛礫、御廉い御用」 ユリアの数歩前の宙に風が巻き上がり、小石程の風の集まりが無数に生まれる。 ユリアは、右肩の光の少女を見ると。  「セラちゃん、いっくよぉ~っ」 「はいな」 光の精霊は、ユリアの元気な声に微笑んで祈る。 すると・・・。 「うお・・、こっ・コレは?」 クラークは、突然に風の飛礫が淡く白い光を孕むのに驚いた。 無数に出来上がった風の飛礫が、それぞれに光り出す。 ホタルが光を点灯させる様に、風の飛礫が淡く白い光を点滅させる。 その光の届く所まで踏み込んできたスケルトンが、光の点滅を感じて進行を止めたではないか。 (戸惑って・・いるのか?) ギザギザした歯を剥き出しにしているカタツムリが、身の丈2メートルを超える身体を光に反応して巻貝の様な殻の中に戻そうとする。 モンスターは、明らかにユリアの魔法に怯えていた。 ユリアは、杖を大きく後ろに引くと・・・。 「今日は、ガンガン行くからねっ。 いっけえぇーーっ!!!」 と、杖を振り込んだ。 光を孕んだ風の飛礫は、瞬く間のスピードでモンスターに襲い掛かる。 最も先頭に居たスケルトンは、その飛礫が全身を貫く通過だけで瞬時に塵と崩れる。 その後ろに迫ったカタツムリやスライムなども飛礫をモロに喰らう。 ぶつかる瞬間に光って弾ける飛礫は、モンスターを倒すのに威力十分だった。 クラークは、自分とセイルが突撃する間も無く、最初のモンスターが退治されたのをただ見ていた・・。
/2757ページ

最初のコメントを投稿しよう!