第1章

4/15
前へ
/133ページ
次へ
先輩は珍しく、物憂いげな表情でため息をついた。 あ、そっか。 黒夜真月さんは確か、瑠音先輩の―――― とくん……っ。 「ッ――……?」 あれ……? 今の、何だろ……。 心臓が……跳ねた? 何だこれ――……何か、胸がむかむかする。 食べすぎたのかな……。 それよりも、新東京市で世界大会ってもしかして。 「もしかしてその大会、リレー戦でしたっけ?」 「えぇ、そうよ。世界でも数回しか行われないリレー戦。見るのが楽しみよね」 《Space Sonic》短距離走には、リレー競技というものが存在する。 4人程度の人数で1チームを作り、バトンをリレーしてゴールを目指すチーム戦だ。 世界大会では年に数回しか行われない競技で、《Space Sonic》短距離走唯一のチーム戦なのも相まってか、非常に人気が高い種目である。 「昨日のスポーツニュース、見たかしら?」 ふと、瑠音先輩が楽しそうに顔を近づけてきた。 ――……!? ち、近っ……!!
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加