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「み、見てないです……」
ちょっとドキドキしながら答えると、先輩は少し笑みを濃くして、
「破夜舞迅、神崎橙弥、音無黒廻、そして黒夜真月がチームを組むかもしれないそうよ」
「えっ、本当ですか!?」
顔の近さなど忘れ、僕は叫んでしまった。
「本当よ。まだ変わるかも知れないらしいけれど、それを生で見れるなら、先輩に会いに行くのも悪くないのよね」
とくん……っ
え……また……?
「先輩……真月さんに会いたいんですか?」
は?
何言ってるんだ、僕。
そんなこと……聞きたかったんだっけ?
僕の意思じゃない質問に、瑠音先輩は眉をひそめた。
「どうしたの、礼……?」
覗き込むように、僕の目を真っすぐに見つめてくる先輩。
その瞳にあるのは『不審』の二文字。
僕は今、自分がどんな表情をしているのか解らなかった。
心臓が跳ねてからというもの、まるで何かに追い掛けられるような、心に大きな壁が出来上がってしまったかのような。
得体の知れない何かに、追い詰められているかのような感情に囚われていた。
外はとても暑いのに、冷や汗が吹き出して、呼吸がどんどん浅くなってくる。
――……何だよ、これ。
すごく……苦しいっ……!!
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