第1章

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テーブルをたたき付けながら立ち上がった先輩を、僕はしかし。 冷静に、見上げていた。 「何が言いたいって、最初から言ってるじゃないですか。真月さんに会いたいけば、会ってきたら良いじゃないですか」 「会いに行くだなんてまだ一言も言ってないでしょう!? 何をはやとちりしているの!?」 「でも、行きたいんでしょう?」 そして、僕はそこで立ち上がった。 先輩よりも頭一つ分背の高い僕は、先輩を少し見下ろしながら。 「ぁ――……」 そこで、僕は正気に戻った。 「ひ……ぁ――――?」 「何よ。言いたいことがあるなら言いなさいよ!!」 視界が歪み、先輩の顔が水越しに見ているかのようになってしまう。 泣いている、と気がついたときには、僕はその場を走り去っていた。 「――……ごめんなさいっ」 「ちょっと、礼!? 待ちなさいよ!!」 何なんだよ、これ……!! 何で先輩にあんなこと……あんなこと言うつもりじゃなかったのに……っ!! 何なんだよっ……!?
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