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たった数回、言葉を交わすだけ。
それだけで、私の心は軽くなった。
どこまでも飛んで行けそうなくらい、身も心も、楽になる。
――……何てことかしらね。
私ったら、もうすっかり、礼がいないと生きていけないみたい。
「別れの挨拶は済んだかな?」
隣の彼が話し掛けて来る。
凄まじい圧を伴っていたはずの言葉はしかし、今では何の障害にも感じなかった。
だって、私には、待っていてくれる人がいる。
それに。
このレースが終わったら、私は伝えるつもり。
大切な人に、ずっと側へいたい、と。
「別れじゃないわ。――……再会の約束よ」
風を感じる。
私を呼ぶように鳴く風を感じ、身を預けんがために右足を前へ。
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