序章

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「君が勝てば、世界への挑戦状を。僕が勝てば、羽瀬川礼はぼくの元に。それで良いんだね?」 たっぷりの余裕を湛えて、彼は笑みを浮かべる。 しかし。 私には、関係ない。 世界への挑戦状? そんなものいらないわ。 私が欲しいのは―――― 「――――礼の心だけ」 そして私は、大翼を広げた。 手に残る震えを軽く握りしめて、胸に手を当てる。 高鳴る鼓動は、きっと、緊張。 だけど、それ以上の期待。 誰への? 私? 礼? 彼? それはわからなかったけれど。 この戦いは、何故か負ける気がしなくて。 結果はどうあれ、この戦いが終わったあと、私の中の何かは間違いなく変わってゆくと、核心めいた何かがあった。
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