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「元部長、ですか?」
「そう。黒夜真月。知っているかしら」
問い返した僕の声に、先輩は、こくり、と頷いた。
秋も近づいてきた夏休み終盤。
例の化学的医療法でアキレス腱を繋ぎ治してもらった (もう胡散臭くて仕方がないのだけれど、現に治っている以上文句は言えない) 僕は、先輩とハンバーガーショップにやって来ていた。
部活が終わったあと、先輩は1人でさっさと帰ってしまうのだけれど、
『れ、礼』
『あ、お疲れ様でした、先輩。また明日――――』
『礼!!』
『っ!? は、はい!』
『い、一緒に来なさい』
こんな感じで連れてこられたのが、ハンバーガーショップだったのだ。
――……あの時の先輩、何だか緊張してたみたいだけど、どうしてだったんだろう?
僕を誘うのに緊張した……?
いや、ない。試合ではいつも強気な先輩が、そんなことで緊張するわけない。
ない、よな……?
僕らはお昼代わりにセットメニューを頼み、店の隅っこにある2人席に落ち着いた。
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