第1章

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△▼△ 「元部長、ですか?」 「そう。黒夜真月。知っているかしら」 問い返した僕の声に、先輩は、こくり、と頷いた。 秋も近づいてきた夏休み終盤。 例の化学的医療法でアキレス腱を繋ぎ治してもらった (もう胡散臭くて仕方がないのだけれど、現に治っている以上文句は言えない) 僕は、先輩とハンバーガーショップにやって来ていた。 部活が終わったあと、先輩は1人でさっさと帰ってしまうのだけれど、 『れ、礼』 『あ、お疲れ様でした、先輩。また明日――――』 『礼!!』 『っ!? は、はい!』 『い、一緒に来なさい』 こんな感じで連れてこられたのが、ハンバーガーショップだったのだ。 ――……あの時の先輩、何だか緊張してたみたいだけど、どうしてだったんだろう? 僕を誘うのに緊張した……? いや、ない。試合ではいつも強気な先輩が、そんなことで緊張するわけない。 ない、よな……? 僕らはお昼代わりにセットメニューを頼み、店の隅っこにある2人席に落ち着いた。
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