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先輩から出された名前には幸い聞き覚えがあったので、僕はすぐに頷いた。
「はい、知ってます。瑠音先輩の先輩で、確か破夜舞迅さんたちと一緒に四天王的な扱いになってますよね?」
そうよ、と瑠音先輩は頼んだオレンジジュースを飲みながら頷いた。
破夜舞迅さん。神崎橙弥さん。音無黒廻さん。
《Space Sonic》短距離走において、世界の頂点に君臨する3人。
瑠音先輩がこの3人に勝てたのは、『新東京市の墜走』だったからこそ。
つまり瑠音先輩は、あの場所に限りなく大きなアドバンテージを持っているから勝てたのだ。
『新東京市』で『墜走』。
この2つの条件が揃わない限り、瑠音先輩は3人には勝てない……そうだ。
僕はそんなことないと思うんだけど。
そして、そんな3人と素面で並び立つ、4人目の実力者。
それが、黒夜真月さん。
彩鏡学園飛行部の元部長さんで、破夜舞迅を唯一脅かす存在、みたいに言われている。
「――……でしたよね?」
「えぇ。今度、彼が帰ってくるみたいなのよ」
?
帰ってくる?
「帰ってくるって……この街に、ですか?」
「そうよ。近々、新東京市で世界大会が開かれるらしいの。それに出場するからって、昨日私のパソコンにメールが来たのよ」
ずずー……、とオレンジジュースを飲み終えた先輩は、ポテトをつまみながらそんなふうに言った。
「何だか複雑な気分なのよね。会いたいって話なんでしょうけれど、少なからず因縁があるから……」
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