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人々がごった返す路上で、数組のストリートライブをしている姿。
ジャンルなんかもバラバラで、取り囲まれている人達もいれば、そうじゃなくひたすらギターをジャカジャカ弾き鳴らす人も居る。
M「全員に見えるようにしなよ、X」
X「ホントにこんな事して、大丈夫なのかなぁ…」
M「なんとかなるって。報告は俺がしてるんだし、ばれないよ」
X「やけに前向きだよね、M」
M「前からこうでした」
X「…」
M「(笑)ほら、行ってきなよ」
X「…うん」
地べたにキーボードを置いて、奏でるメロディ。
ハイトーンボイスは高らかに響く。
数人の人だかり。
僕は掻き分け、彼女の目の前に立った。
やっぱり、いいなぁ…。
やっぱり、一緒に唄いたくなるよ。
今朝唄ってた曲だよね。
駄目‼我慢は無理‼
僕は今朝と同じように彼女の唄に声を重ねた。
最初、びっくり顔した彼女の視線と回りを囲んでいた人達の視線が刺さるように浴びせられたけど、そんなの気にしない。
もう、こうなったら吹っ切っちゃえ‼
驚いてたまなちゃんが、一瞬戸惑いつつ…でもね、今僕を見て笑ったよ。
2人のハーモニィはどんどん近いて、共鳴する楽器のように…そして、静かに終焉へ…。歌い終わると、回りにはさっきの倍は人だかりが出来ていて、拍手が沸き起こる。
まなちゃんの後ろには、Mが笑ってガッツポーズしてる。
なんだか恥ずかしいなぁ。
僕はきっと今真っ赤だ…。
顔を両手で隠すと、声をかけられた。
まなちゃんが僕の真ん前に立って顔除き込んでる。
「あんた、朝会ったよね」
X「あ、はい」
「いい声してんじゃん‼もう少し付き合ってよ」
X「え⁉」
笑顔のまなちゃんに動揺で更に頭に血が上ってるよ、僕。
Mはそれ見て大笑いしてるし。
人の事だと思って、まったく…。
僕は軽くMを睨んだ。
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