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それからまなちゃんから何枚かの楽譜を手渡されて、軽く慣らした後、3曲2人で唄った。
最高に幸せだった。人々の拍手もうれしかったけど、なによりこんなに心から楽しい唄を唄えるなんて夢にも思ってなかったし、下界へこっそり5人で降りて送る唄以外の唄を唄う時がたまにあるけど、まなちゃんとの声は5人で唄うのと同じくらい相性が良いから、本当に気持ちが良い。
「あ、やばバイトの時間だ。」
彼女は腕時計を見て言ったから…ここは勇気を…。
X「あの、送ってもいい…かな?」
「え?…ま、いっか少し話したいし。良いよ。」
よかった……断られたらどうしようかと思った。
彼女は手際良くキーボードをケースにしまう。
持ち手を肩に掛けようとしたので、僕はそれを彼女の手から奪う。
X「持つよ」
「………」
X「あ、あれ、悪かった?」
「あ、いや、そうじゃなくて、なんかちょっと照れたかな。うち、だいたい自分でやるからさ、誰かに助けて貰ったりってさ、あんま、こう慣れないっていうか。…でも、サンキュ!」
そう言って笑う彼女。
か…可愛い…。
「あ、そういや名前聞いてないや。うちは、まなって言うんだ、あんたは?」
X「…シア」
「シア?もしかして、外国人?」
X「んー…そんな感じ…かな」
「?訳あり?」
X「あ、いや…」
「別に良いよ。うちそういうの気にしないから。せっかく良い時間過ごせたし、シア、見るからに人良さそうだし。」
X「ねぇ、また一緒に唄ってよ」
「あ、先に言われた。もちろんだようちの声って癖あってなかなか合わせられる人いないんだ。だから、今日はめっちゃ嬉しかった」
X「僕もだよあんな幸せな唄なかなか唄えない」
「うちら、気が合いそうだね。」
X「ホント」
2人で笑ったよ、いろいろおしゃべりしてさ、コンビニ迄の道のりをずっとずっと、笑顔は堪えなかったんだ。
「んじゃ、シア。ここだから」
まなちゃんがコンビニに指を指し、僕からキーボードを受け取る。
「次って、いつ会えるかな?」
X「まなちゃんが会いたいなら、いつでも会えるよ」
「それってどういう…あやばい、マジ遅刻」
X「行きなよ、まなちゃん」
僕に少し俯いて…
「なんか、やっぱ照れる。シアって…あ、後ちゃん付けなし!まなでいいから」
X「わかった、まな。じゃぁ、またね」
彼女は手を振り、駆け出す
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