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「おいちゃーん!ナイフ見せて。」
武器屋……もとい魔法具屋の主人に僕は声を掛けた。
「兄ちゃん……ナイフなんて食器の置いてある雑貨屋にでも行けよ……。」
主人はため息混じりに言う。
僕はそんな主人を無視して近くに居た猫を撫で回す。
すっごく毛並みがいい。
ふあふあだぁ……
肉球を見せてくれ……
僕は動物に目がない。細かく言うと『肉球』がたまらない。
僕はそっと猫の前足を裏に返した。
『に゛ゃっ!』
猫の反撃が来た。
勿論僕は頬を引っ掻かれてしまう。
痛いけど……肉球触れたからいいか。
猫はさっと店内に消えていった。その猫の居た場所に視線を移すと……
ナイフがあった。
僕はそっと手に取った。
軽い。
「兄ちゃん、うちのマリソンに引っ掻かれたか。多分肉球を触ろうとしたんだろ?くっ。」
僕の傷を見て主人は笑っている。
「…………取り敢えず、おいちゃん。このナイフ。」
急に恥ずかしくなった僕はナイフを見せた。
「図星か~?どれ。」
主人は驚いた顔で僕に尋ねた。
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