第一章 魔法の小国

3/4
前へ
/9ページ
次へ
 「おいちゃーん!ナイフ見せて。」 武器屋……もとい魔法具屋の主人に僕は声を掛けた。 「兄ちゃん……ナイフなんて食器の置いてある雑貨屋にでも行けよ……。」 主人はため息混じりに言う。 僕はそんな主人を無視して近くに居た猫を撫で回す。 すっごく毛並みがいい。 ふあふあだぁ…… 肉球を見せてくれ…… 僕は動物に目がない。細かく言うと『肉球』がたまらない。 僕はそっと猫の前足を裏に返した。 『に゛ゃっ!』 猫の反撃が来た。 勿論僕は頬を引っ掻かれてしまう。 痛いけど……肉球触れたからいいか。 猫はさっと店内に消えていった。その猫の居た場所に視線を移すと…… ナイフがあった。 僕はそっと手に取った。 軽い。 「兄ちゃん、うちのマリソンに引っ掻かれたか。多分肉球を触ろうとしたんだろ?くっ。」 僕の傷を見て主人は笑っている。 「…………取り敢えず、おいちゃん。このナイフ。」 急に恥ずかしくなった僕はナイフを見せた。 「図星か~?どれ。」 主人は驚いた顔で僕に尋ねた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加