くろ鴉
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「やれやれ。かなわぬ事だ。今度は何だ?」 ひと気の無くなった道を長屋に向かって歩いている鴉が胸の中で呟く。 つけている者がいるのである。 何気無い動きで件の染物屋の角を曲がる鴉。「何か用かね?」 鴉は同じ角を曲がって来た男に訪ねた。 どうやら先ほどの生き残り、痩身長身の浪人者のようだ。
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