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狸寝入りしてたければ、いつまでもしてればいいさ。
たとえバスが目的地に着いても、僕がこの手を離さなければいいだけの話だ。
元々は赤の他人だった理沙と、僕は知り合い友達になり、時間を共有する度にちょっとずつ特別な存在になり、そして今、僕は一歩を踏み出した。
繋いだ右手が汗ばんできたり、心臓の音が理沙に聞こえそうなくらい大きくなってきたり、拷問みたいな時間は続くけれど、僕はちっとも辛くはなかった。
だって、隣に座っているこの女の子のことを僕は好きなんだから。
いつの間にか、寝息は途絶えていた。
僕が繋いだ右手をそっと握りしめると、理沙の左手にぎゅっと力が入るのを感じた。
その瞬間、僕らは恋人同士になった。
はじまり。
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