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「んぅ……あれ…起きたの?」
泣き声で目が覚めてしまったのだろうか。
泣き顔を見られたくないため、少年な顔を右に逸らした。
「起きたのね!よかったっ。君、昨日どうだったか覚えてる?」
「あぁ…」
心底安心した様子で話す少女に、少年は淡々と返す。
「私、ルーチェ。君、名前は?」
「…………ノックス」
名前を聞かれ、少年は即興で仮名を思い付いて教える。
「ノックス?素敵な名前ね」
「………」
優しく話し掛けるルーチェ。しかし、ノックスは拒絶するように黙ってた。
「ここ私の家の別荘なの。昨日近くの林で倒れていたのにラルが見つけたのよ」
「ラル…?」
「ラルっていうのは私の友達よ。犬なんだけど親友なの。それで、お父様に頼んで君の傷が治るまでここに置いてもらうことになったわ」
「……くっ…いや、そういうわけにはいかない…」
ノックスは身体を起こそうとしたがルーチェがそれを止めた。
「迷惑だと思ってるって?」
「………ちが、」
「じゃあ、いいじゃない、ね?」
ルーチェの独特な雰囲気にノックスは慣れてないせいか、飲み込まれてしまった。
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