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野次馬がいなくなり、静けさが漂う路地裏。
「横山刑事。またストリートチルドレンですか?」
ハッキリとした口調で制服警官は刑事風の男に訊ねた。
「ああ……この格好きっとそうだろうな。可哀想に……」
「コイツ等どうせ、盗みでもしたんでしょう」
制服警官は軽蔑の眼差しで二人の子どもの死体を見下していた。
「おい!いくらストリートチルドレンでもそれは酷いだろ……。まぁ、何にしろ最近ストリートチルドレン殺しが多発しているんだ、そろそろ警戒を強めないとな……」
横山と呼ばれた刑事はそう言うと、制服警官に事後処理を任せ、その場から去って行った。
昔ながらの町並みが残る住宅街の一角にあるボロボロの空手道場。
威勢のよい声が、道場から響いていた。
中では道場の師範であろう30代前半程の顎髭を蓄え、金髪坊主の男が、子どもたちに稽古をつけていた。
そして一通り稽古を終えると、師範は稽古の終了を告げたのだった。
それと同時に道場から出ていく子ども達。師範は、その中の一人であるダイスケという、中学生程の男の子を呼び止めた。
「おい、ダイスケ!今日でリョウが来なくなってから2ヶ月だが、病気は大丈夫なのか?」
急に呼び止められたからか、驚いていた様子のダイスケは直ぐに返事できないでいた。しかし、焦りながらも「大丈夫です!」と告げると走って道場から出て行った。
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