第一章 罪の名を

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 なんだあれはと、困惑を口に。オスロは、そんな光景にただ目を見張る。  近づくそれに、  差し迫る異変に、  対抗して思考を展開させた。  これは、一体……。  いや、まさか。  しかし、それしか。  だとしたらばッ! 「やつめ……」  引き攣る表情。  呟き、さらに視線を遠くへ。  広がるのは――焼け野原。  生き物が死に絶えたはずの荒唐無稽の地。  頬を――張り詰めたように緊張する顔を、冷たい汗が伝う。  次に、オスロは叫ぶ。 「第二射だ。次弾も発射、急げッ」  逡巡。の間に部下と目が合う。  怯える者の眼で。  彼もどうやら同じことを思っていたらしい。他に可能性がなければ、当然だろう。  だからこそ、あり得ないからこそ、混乱し慄くそれに、まるで活を入れるかのように声を張り上げた。 「やつを、やつはなんとしても焼き払うんだッ!」  それまでの同情一切をかなぐり捨て、命じた。  一瞬の間を空け、兵士のやけくそ気味なイエスが返る。  森の中。  国境に今、戦慄が駆け抜けていた。   ◇ ◇ ◇  一匹の狼が駆けていた。白い狼だ。 .
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