第一章 罪の名を

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 鏡。  否、  鏡のように光を反射し青銀に輝く盾――氷の壁だ。  ドーム状にルインとそれに跨る人物を、氷は覆い隠す。  その直後、爆弾は再び森を焼き払った。直径一キロの円を描き、その内側の全ては爆炎に包まれる。灼熱が、世界を焦がすようだ。ただ一ヶ所、氷に覆われたその場所のみを除いて。 「よし」  爆発が収まり、炎に焼かれる森の中。声と共に氷の壁にヒビが入る。次の瞬間には青く輝いていたそれが見事に割れ、塵となって消えていた。そこには、頭を抱え小さくなるルインの姿がある。無傷の、綺麗な白銀のままの姿。  背中の上から、さらに声は続いた。 「上出来だ」  それは、高く綺麗な声だった。澄んだ水のように、むしろ限りなく透明に近い氷のような、青い冷たさを感じる涼やかな声。ただ少しの、満足感を含んだ声だった。  そんな呟きに、ルインは頬を膨らませた。 「上出来だ。なんて褒めてる場合じゃないですよ、見てくださいよこれ!」  というのは、辺りの惨状のことか。  先ほどもそうだったが、見事なものだ。抉れ返った大地に無事な木があるはずもなく、周囲一帯全てが炎に包まれている。揺らめく炎でこそ視界は遮られるものの、今までと比べれば遙かに見晴らしが良かった。少し頭を上げれば、離れた所に関所が見えてしまうほど。  だから素直に、 「あぁ、凄いな。連中もよくやる」  相手の攻撃を称賛してみたのだが、 「よくやる。って、それじゃ困ります!」  ルインはどうやら、お気に召さなかったらしい。 .
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