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「酷いです、個人にやる攻撃とは思えないです」
「向こうからはこちらの位置を正確に把握できないのだろう。なんのための森だ。そうした場合、狙撃より確実だと思うけどな。オレは」
「そういう問題じゃなくてですね……。それにしても個人を狙うには、これ、あまりに規模がおかしくないですか」
「それだけ本気ということだ。連中も、形振りかまえないのだろう」
ただその全力の攻撃でさえ全くの無意味に終わっているのだから、むしろ酷いのはどちらなのか。
思うまでもなく、ルインは肩を下げる。
「私達、どういう目で見られているんですかね」
「罪人だろう」
そう、ただの犯罪者。
しかしそれは、最新兵器を連発してまで駆逐を果たそうとされるほど、手のつけられない凶悪犯。買い被りもいいところだと思うのは、現状を見ればむしろ嫌味だろうか。
「どのみち、話している暇はない。手応えなしと思うなら、連中、まだ撃ってくるぞ」
「どうするんです?」
問いに、声は悩まなかった。
一度右手の方を見れば、小さくほくそ笑み一言。
「もうひとっ走りだ。早々に、突破するぞ」
炎の中、白い巨躯は再び駆けだした。
◇ ◇ ◇
それをオスロは見ていた。
部下より受け取った望遠鏡。黒く長い筒を片目に当て、爆撃の中心を黙って見ていた。見ながら込み上げるのは、ただただ驚きの感情ばかりで。
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