プロローグ

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 頻繁にといっても、そこは一国の姫。日を置かずに問題は起こさない。精々が月に一度の大問題だった。  それは、  時に、魔術の訓練で城壁を破壊した。  時に、城下の子供と一緒になって遊んで山火事を起こした。  時に、泳ぎの練習中だったのが港の魚に紛れて網にかかった。  そんな――ともすれば笑えないレベルの大問題。ここ最近は特にそれが目立った。  そうした事例から、兵士らも特別姫の動きを見ていたにも拘わらず、またも問題‐それ‐が起きたのだ。しかも国家の一大事と言える最悪の形で起きてしまったのだから、大臣も顔から火を噴くしかない。  事の起こりはつい先刻。  姫の魔術の稽古中だ。  稽古の合間。わずかな休憩時間。術師の先生が目を離し、同時に衛兵が少し気を抜いたわずか一瞬のできごとだった。  姫は、渾身の魔力による一撃をもって、城の外壁を壊し脱走したのだ。  報告を聞いた時の大臣の顔と言えば、これまでに見たことがないくらい絶望感に打ちひしがれていたのだという。  こんな時に。  この大事な時期に。  いや――だからこそだろう。  思い至ったところでできることなど地団駄を踏む程度。大臣はただ怒りに茹だった。  脱走した姫。  城壁の一部はその魔術で吹き飛ばされ、今ではどこに行ったのか――解らず、今はただ修復作業が開始された城壁を、黙って見下ろすばかり。  そうして、頭を抱えるしかなかった。  全ての歯車は、あのオテンバにより狂い始める。 .
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