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「見ればわかる」
告げると同時、熱風が轟音を乗せて体を震わせる。微動だにせず、岩か山のように腕を組んだままのオスロへ、見るのをやめて兵士。
「……しかし、直撃だというのに、あまり浮かないようですが?」
それこそ、見ればわかるだろう。
そう言うようにオスロは、小さく息を吐いた。
部下の言うとおり、攻撃は直撃だ。対軍用に造られた広域殲滅兵器。人族軍オフィールの最新兵器クラスター。その破壊力は見ての通りで、たったの一撃で直径にして一キロ近い範囲が焼き払われたのだ。
しかし、それを受けたのは軍隊ではない。
広域への攻撃を目的として造られているのだから、当然、本来ならば軍団相手――せめて大隊規模を一掃するための兵器である。
しかし。
今回向けられた対象。
一個大隊ではない。
軍でもない。
群ですらない。
――たったの一人だ。
そう、たった一人を目掛けクラスターは放たれた。
たかが一人のために、対軍用兵器を持ち出したのだ。広域殲滅用のそれを。
牛刀をもって鶏を裂く。
直撃しないはずがない。
その一人を焼き払うためだけに最新兵器を持ち出して、直径一キロにおよぶ広範囲を焼き払い、その結果をもって直撃したと、そう判断する。
そこにオスロの気の浮かない理由があった。
砲撃を指示したのは所長でもあるオスロだが、クラスターの使用はそもそも本国からのものだった。電報を見た時は、それは驚いたものだ。
『先刻、例の罪人がそちらに向け逃亡したとの報告があった。クラスターの使用を命ずる。何としても国外に出すな。その場で仕留めよ』
それは、異例中の異例だった。
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