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私は駆ける。白い地面を蹴り上げ、自らの全速力をもって、正面にある白いドアへと向かった。
「だれかー!! ひったくりよー!!」
おっといかん。助けに行かねば。申し訳ないが私のヒーローとしての役目を果たすには君たちと話しているこの時間も惜しい。よって私はしばらく何かを聞かれても答えられないことが多いかも知れないがそこは承知してくれ。
くそっ、逃げられたか。逃げ足の速い犯人だ。私の目の前で堂々と犯罪を犯しておちおち逃げ延びるなど、次はこのようなことが無いと思え!!
ん? さっきはビルの屋上から飛び降りたんじゃなかったかと?
何を言っている。
私はビルの屋上の柵から飛び降りて、ビルの屋上に着地しただけだぞ。
何!? ビルの屋上からそのまま地上に降りたと思っていただと!? 何を考えている。あのビルは地上20階建てなのだ。私はスーパーマンではない。あくまでヒーローだ。ヒーローは人間なのだ。超人ではない。そんなところから飛び降りたら死んでしまうではないか。そんな事が可能なのはスーパーマンだけだ。
もう一度言おう。私はあくまでヒーローなのだ。スーパーマンではない。
くそ。無駄骨だったな。せっかく私の勇姿を君たちに見せる機会だったのだがな。
仕方ない。再びビルの屋上に階段を使って戻るのも面倒だ。しばらくこの辺りをぶらつくことにしよう。
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