第二話:僕と君とストーカー

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 僕も今日は近くで休もうと思った。コンビニによって、飲み物と軽い食事を買い、あてもなく外を歩き回った。無論、君の見える範囲に僕はいる。何時でも何時でも、君を見守っている。だけど、僕は何時も見守っているだけだから、君の前に堂々と姿を表しはしない。  なんで姿を表さないのか。その理由はきわめて単純だ。君が僕の事を大好きだって言うことは僕自身がよく知っている。だから、勉強の邪魔にならないように、お仕事の邪魔にならないようにするために、僕は君の前に姿を表さない。でも、君の姿は色んなところで僕は見ている。町の広告、雑誌やテレビ、そして、さっき。その麗しい瞳は、僕に向けられているもの、その華やかで穢れの無い笑顔も、その美しくて真っ白な歯も、その黒真珠のような瞳が映し出す視線も、そして、君が持っている心と言う意識も、好きという感情も、愛という盲信に近いその思いの矛先も、その全てが僕と言う存在に向けられているのは、ずっと昔から分かっていた。  だから、僕は、君の前には姿を表さない。君のお仕事の邪魔をしたくは無いから。君の前に僕が現れて、君が動揺してしまって、僕が君の姿を目にする回数を減らしたくはないから。  だから、僕は君に会わない。でも、僕は何時でも君の事を見守っている。あの月のように、空から君の姿を四六時中見守ることが出来るわけではない。けれども、月だって、ましてや太陽だって、二十四時間と言う期限のその半分しか君の姿を見ていない。君の姿を最も長く見ているのは僕。僕は月よりも、太陽よりも、世界よりも、何よりも、君の事を最も長く、一番長く見守っている。  それは、ひとえに僕が君へと向ける愛ゆえだと言える。僕は君を愛している。君が僕をその瞳で、その唇で、その表情で、僕のことを愛してくれているように、僕も君の事を、これでもかという位愛している。この気持ちは誰にも負けるつもりは無い。君を愛するこの気持ちだけは、誰に負けるはずも無い。そう。君に愛された分だけ、僕も君の事を愛している。
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