──それは…ある日──

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「おはよう。お兄ちゃん!」 手を後ろに回し前屈みに言う陽那。 だが、陽那が前屈みになると前を大胆に開けているせいで胸が強調される。 「っ!ぁ、あぁ。お、おはよう陽那。」 俺は慌てて目を逸らし挨拶を交わして陽那の頭を撫でてやる。 目を細めて気持ちよさそうにしている。 お前は猫か…。 その内喉まで鳴らすんじゃないか? しかしながら俺は妹に弱いらしい。 まぁ両親がいないから甘えさせてやるしかないんだよな。 俺たちの両親は今は他界している。 母親は俺が小学校、陽那が幼稚園に通っている頃に交通事故で亡くなった。 父親は過労が原因で俺が高校一年の夏頃で亡くなってしまった。 「それじゃ、父さんと母さんに挨拶行くぞ。」 「…うん。着替えるから待ってて。」 陽那の部屋から出て一階の仏壇がある和室に入る。 少したって制服を着た陽那がやってきた。 「「………」」 (陽那は俺が守っていく。父さんと母さんは安心して見守っていてくれ。) 「…さて飯でも食うか!!」 「うん!」 リビングに移動し朝食を食べ始めた。 「そう言えば、お兄ちゃん。」 「あんふぁ?」 「飲み込んでから喋りなよ…。」 「ゴクッ。で、なんだ?」 俺はコーヒーで流し込み陽那に問いかけた。 「あぁ、うん。昨日、お隣さんに引っ越してきた人がこれくれたよ。」 いいながらテーブルの上にある箱を指差した。 ? 「俺は知らないぞ?いつ来たんだ?」 「お兄ちゃんがバイト行ってたときかなぁ~?」 ふむ。 なら近い内に挨拶に行かなければな。 「それで、名前はなんて?」 「えっとねー 確か霧島さんって言ってたよ。」 霧島さんか。 いったいどんな人だろー? と、考えながら頂いた物の蓋を開けた。
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