──それは…ある日──

4/13
前へ
/16ページ
次へ
中にはキレイなお菓子が入っていた。 どれも美味しそうだな。 「お兄ちゃん、食べるの?」 「そうだけど、なんで?」 どれを食べようか悩んでる俺に陽那は変な顔で見ている。 「ううん。気にしないで!」 陽那の言葉に疑問を抱きながら中でも一番おいしそうなクッキーを手に取った。 ガタガタ! 物音の方に目を向けると陽那が青い顔をしていた。 「さっきからどうしたんだ?  なんか変だぞ?」 「な、なんでも、ないよん☆。」 何で最後に☆が付くんだ…。 すこし疑問に思いながらクッキーの封を開けた。 「いっただきまーす!」 パクッ 一口でクッキーを頬張った。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 「なにがだいじ…!?」 ガタガタ 体が震えはじめた。 な、なんなんだコノ味は!? 「お、お兄ちゃん?」 陽那が俺の体を揺すると椅子から崩れるように落ちた。 ドサッ 「お兄ちゃん! だ、大丈夫!?」 慌てて陽那が俺を抱き起こした。 「ひ、陽那…あれは、ちゃんと捨てるんだ…」 「だめだよ! もったいないよ!」 もったいないからって、あれは流石に無理だろう!? 「あ、兄の死を…無駄に、する…な。」 「だ、だって。」 「これが…俺の遺言、だ。」 ガクッ 「…お兄ちゃん?」 ゆさゆさ 「おにーちゃーーん!」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加