1 はじまり

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親父が言う森ってのは、オレ達が住んでいるとこに小規模な山があって、その麓にある場所。 樹海みたいなもんかな。 山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、中に入ってくと途中で立入禁止になっている区域がある。 言ってみれば四角の中に小さい円を書いてその円の中には入るな、ってのと同じで極めて部分的。 2メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い網と有刺鉄線、柵全体には、異なった白い紙が絡まってて(独自の紙垂みたいな)、大小いろんな鈴が無数についてる。変に部分的なせいで柵全体の並びも変だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。 あと特定の日に巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけるんだがその日は付近一帯が立入禁止になるため何してんのかは謎だった。 いろんな噂が飛び交ってたが、カルト教団の洗脳施設がある…ってのが一番広まってた噂。そもそもその地点まで行くのが面倒だから、その奥まで行ったって話はほ、とんどなかったな。 親父は拓真の返事を待たずにお母さんを連れて2階に上がって行った。
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