9人が本棚に入れています
本棚に追加
はじまりの日
チリリリリッン
部屋に時計のアラームが響く。
「もう…朝…か」
目覚し時計を止める。
温かい柔らかな日差しがカーテンの隙間から差し込む。
カーテン開け、窓を開ける。
「うんいい天気だ。入学式日和だな」
おもいきり背伸びをする。
「時間どおり起きれたな」
昨夜はドキドキして寝られるか心配だったが案外すぐ寝ちゃったらしい。
「さっ、飯でも食うか」
リビングに向かう。
俺の名前は相良総悟(さがらそうご)
ごく普通の中学三年…じゃなかった高校一年生だ。
高校生活は楽しみだが、少し不安でもある。
俺が通う私立葉桜高校は去年までは女子校だったのだが、今年から共学になった。
今までの理事長が俺が通っていた中学の校長に変わったからだ。
あの人のモットーは男女仲良くだったからな。
だから共学にしたのだと思う。
で、共学にするからという理由で俺らの中学から何人かを選びその中の1人に俺も選ばれたわけだ。
別に断ることもできたのだが入学金免除というところに惹かれた。
それに葉桜高校は有名な進学校だったし将来のことも考えるといいかな?と思ったからだ。
……別に女子が多いからって決めたわけではないぜ。
楽しみっちゃ楽しみなんだかな。
そんなこんなで朝の準備をしていると、時計は8時になろうとしていた。
「よしっ行くか」
俺は家をでて、自転車に乗り学校に向かった。
途中、坂道でパンをくわえながら走っている葉桜の生徒を見掛けた。
なんでこんなに急いでいるんだ?
全然余裕あるのに。
時間を見間違えでもしたのか?
まあいいや俺には関係ないし。
10分ほど自転車をこぎ、葉桜高校が見えた。
学校に近付くにつれ生徒の数が多くなったが男子生徒は一人も見掛けなかった。
それにしても相変わらず大きい学校だ。
入学試験…というか形だけの面接(合格は決まっていたのだがとりあえず面接だけ来いといわれた)
をやりに来たときは何とも思わなかったけど、やっぱり制服を着て校門を通ると、今日から俺は葉桜高校の一年生なんだという実感がわく。
思わず背筋が真直ぐに伸びる。
最初のコメントを投稿しよう!