はじまりの日

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自転車をとめ下駄箱に向かう俺を、周りの女子達は不思議そう(訝しげ)に見ている。 当分はそういう目で見られるだろうとおもってはいたが、流石にいいものではない。 「俺のクラスは…4組か。男子は…俺だけ?」 やれやれ喜んでいいのやら… 上履きにはきかえ教室に向かう。 知り合いがいるわけじゃないので、自分の席に鞄を置きさっさと体育館に向かった。 「体育館も広いな」 と独り言を言いながら、クラスの列に並んだ。 周りを見渡しても女子女子女子。 端のほうに男子がいたが知らない奴だった。 始まるまで十五分もある。 もう少しゆっくり来ればよかった。 ドンッ 後ろから押された。 いや、ぶつかられた。 「ああ!ごめんなさいごめんなさい」 振り向くと女の子が俺に謝っていた。 「別に大丈夫だよ」 「本当ですか?」 女の子は顔を上げた。 「あっ」 顔を見ると朝、パンをくわえて走っていた女の子だった。 「?、どうしました?」 「えっと君さ、朝、パンくわえて走ってたよね?」 女の子の顔がみるみる赤くなっていく。 「み、見たんですか?」 「ああ、まあね…」 「恥ずかしい…」 今にも泣き出しそうだ。 「それと言いにくいんだけどさ、そのさ…なんで鞄持ってきてんの?」 「えっ!……はうっ!?」 気づいてなかったのか。 「…教室に置いてきます」 「いやもう始まるから終わるまで持ってるしかないよ」 「あっ、本当だ。」 「持ってるのが嫌なら俺が持ってやろうか?」 「大丈夫です!重くないので入学式終わるまで持てます」 いやそういう意味じゃなくて恥ずかしいなら持ってやろうかってことなんだが。 まあいいか。 「…そういえば君の名前何ていうの?俺は相良総悟。よろしく」 「あっ、えっと私の名前は立花凜です。こちらこそよろしくお願いします」 「ぷっ」 「んっ?何が可笑しいんですか?」 「ずっと気になってたんだけどなんでそんなに言葉遣い固いの?クラスメイトなんだからさ」 「…あっ確かに。あはは。そうだね可笑しいね。あはは。じゃあ改めて、よろしくね相良君」 「只今より第四十六回葉桜高校始業式を開始します」始業式が始まった。
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