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 古びたアパートの六畳二間の和室の一室。そこは、本がなだれを起しそうなほど積み上げられている。  その部屋の主。坂下卓は、本が好きだ。  もう、部屋中が本で埋め尽くされていて。足場もないほどに。  その量は布団を敷くにも場所を確保するのに大変なくらいだ。  そんな部屋なのに、数日前から人口が増えた。  その人物を一瞥し、卓はそっと溜め息を吐いた。 「おい。起きろ。いつまで寝ているんだ」  この部屋の主である卓は、いつまでも寝ている居候の布団を捲り上げた。
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