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 そう言った後、アリスが小さく、くしゅんとくしゃみをした。  寒いのだろう。  良く見たら、薄手のセーターを着ているだけでコートは身に着けていなかった。  仕方なく、卓はこの訳の分からない男を部屋に上げてやることにする。  卓は、面倒なことになったと小さく溜め息を吐いた。 「寒いんだろう? とにかく、部屋の中に入れよ」 「うん。ありがと」  そんな卓の様子を気にするでもなく、アリスは、嬉しそうに頷いて、促されるまま素直に部屋に上がった。  そして、そのまま自称天使は、現在に至るまで。卓の部屋に居続けている。
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