叙情的崩壊と月夜

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そして近道して帰ろうと入った路地。 ドンッ バサッ 出会いがしらに何かにぶつかり、もつれて転んでしまった。 目の前には女の子が尻餅ついている。 えらく目鼻立ちの通った小柄で華奢な、いわいる美少女ってやつ? これなんてギャルゲー? いつから現実はこんな古典的かつ、王道な出会いを許すようになったんだ? しかもその女の子は長い髪をツインテールに束ね、ボロボロになったブカブカのYシャツ一枚を下着の上に羽織っただけの姿。 (萌えとはこういったものをさすのだな) と頭の隅に新たな知識を蓄えつつも、その女の子に手を差し伸べながら気遣いの言葉をかけようとしたその時だった。 「あ、あの…助けて下さい!追われてるの…」 大きな瞳を潤わせながら、それだけ言うと少女は気を失ってしまった。
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