叙情的崩壊と月夜

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俺は部屋の端まで吹っ飛ばされた。 さながら、トラックにひかれたカエルの如き体勢は非常に無様かつ哀れなんだろう。 部屋の振動も強烈な光も消えた静かな部屋。 顔を上げた俺の目に映ったのは黒の過激な露出度の服に、荘厳な角とコウモリの様な翼を生やしたアイナの姿だった。 それなんてヴァンパイアクロニクル? エナジードレインとか出来るタイプの人種の方ですか? 「ふぅ、やっと戻ったわ」 アイナは首をコキコキ鳴らし肩をグルグル回す。何、角と翼がワールドスタンダードみたいな言い方してんだこの娘は。 放心状態で口を開けてる俺に歩み寄るアイナ。 俺の前でしゃがみ込むと、おもむろに俺のTシャツをずらし左胸を見て小さくガッツポーズを取った。 「よしっ!契約成功!」
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